本紙  107.0cm×56.5cm

 伝足利尊氏

  浄土寺は、推古天皇24年(616)に聖徳太子が開創したと伝えられ、鎌倉時代に西大寺律宗の僧定証によって再興されて以来、後醍醐天皇や足利尊氏など歴史上の人物とともに、尾道を中心とする瀬戸内の人々の信仰を集めて今日に至っている。

 本画像は、画賛や奉納文書などはなく、像主は不明であるが、着衣の袍(ほう:束帯の上着)には足利将軍家の五七桐紋が全面に描かれており、同寺で足利尊氏の肖像画として伝来している。近年、足利尊氏の肖像画と推測されるものとして芸術的および学術的資料として評価されている。

 直近では、昭和53年(1978)と平成23年(2011)に修復が行われているが、いずれも不十分な作業にとどまり、カビの痕跡がフォクシング(紙に生じるきつね色をした変色、褐色斑点)となるなど、美術的な価値を大きく損なった状態にある。本年度より2ヵ年計画で修復を図る。


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