像高 104.0cm

 木造阿弥陀如来坐像

  本像は、東大阪市長瀬町に位置する長瀬墓地の中央に所在する墓寺、阿弥陀院の本尊であった。昭和45年(1970)に阿弥陀院が廃され、市営の共同墓地として長瀬斎場が建立整備されてからは、斎場内の仏堂に祀られてきた経緯がある。

 構造上は前代以来の木彫の技法を継承しながら、優しい目鼻立ち、肩がまるく、均整の取れたプロポーション、ゆるやかな肉取りの胸腹部の表現など、平安時代後期の温和な表現の特徴がよく表れており、制作時期も平安時代後期と考えられている。右腕は肩より先、定印を結んだ両手および両脚部などは後世補作されたものであるが、東大阪市域において、平安時代の仏教文化を伝える仏像彫刻として歴史的かつ美術史的価値の高い古像として評価される。

 現状では、経年変化による損傷や金箔の浮き上がりが目立っており、保存状態は必ずしも良好とはいえない。本年度より2ヵ年計画で修復を図る。  


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