本紙 35.6cm×59.2cm                 

 本著色 三十六歌仙切(ぎれ)(信明(さねあきら))佐竹家伝来

   佐竹本三十六歌仙絵巻は鎌倉時代の制作とされ、長らく京都の下鴨神社に伝来したが、明治時代になって旧秋田藩主佐竹家に帰し、続いて大阪の実業家の手を経た後、大正8年(1919)に一歌仙ごとに分割割譲された。本作はその一つで、住友家によって購入され、その後泉屋博古館に寄贈されたものである。描かれている歌仙は、平安時代初期の歌人である源信明で、人間臭い仕草や繊細な表情が特徴的である。

 現状では、巻物を掛軸に改装したため、巻皺・折れが甚だしく、本紙や絵具の剥落の可能性がある。また、住友家が誂えた表装も、近代における美術受容の様相を伝える貴重な資料であるが、損傷が見られる。本年度より2ヵ年計画で、表装切れの再利用を含めた修復を図る。 


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