4枚建4面

本紙 166.7cm×111.4cm(各1面)

 叢華殿襖絵(そうかでんふすまえ)(神坂雪佳筆( かみさかせっかひつ))      十二ヶ月草花図(じゅうにかげつそうかず))       

  青蓮院は天台宗の門跡寺院で、平安時代に淵源を持ち、皇室との関わりも深い名刹として知られる。境内にある叢華殿は、嘉永5年(1852)に門主となった尊融親王(久邇宮朝彦親王(くにのみやあさひこしんのう)の法号 1824〜1891)の御対面などに使用されたと伝えられる。

 本作は、現在の叢華殿の襖絵であり、近代を代表する画家神坂雪佳(1866〜1942)が、大正7年(1918)から同9年にかけて制作した襖絵80面を中心とした大作である。雪佳については、近代のデザインに通じる表現や、江戸時代の琳派に連なる歴史的位置が注目され、京都画壇近代化の立役者として関心が寄せられており、今後も研究が期待されている。そうした中で、本図は雪佳が50代になり、画風が完成された時期の画業の集大成といえる大作であり、貴重な作品といえる。

 しかしながら、本図には著しい劣化が確認でき、画面には極めて深刻な損傷も見られる。緊急の修理を施さなければ、制作当初の姿が大きく失われてしまう懸念もある。第1期8ヵ年計画で66面の修復を行っており、本年度は3年目となる。


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