像滉 90.0cm

造阿弥陀如来立像

  浄禅寺は、寿永元年(1182)文覚(もんがく)上人の開基と伝えられ、地蔵堂の地蔵菩薩立像は京都六地蔵の一つとして有名である。

  本像は、同寺の本堂に本尊として祀られる阿弥陀如来立像である。一木割矧造の構造や、腹部をやや突き出して大腿部に衣文を彫出しないなどの古様な要素を残しつつも、卵型の頭部に温和な目鼻を刻み、撫肩の体躯は華奢で量感を抑えた造形に、定朝様を基調とした堅実な作風があらわれており、平安時代後半の制作と考えられている。

 現状は、本体部分の保存状態は比較的良好ながら、経年の塵埃が付着し、表面の漆箔層が各所で浮き上がり、剥落が進行している。また、両手首の接合が不安定で欠落の恐れがあり早急な保存処置が必要な状況にある。本年度より2ヵ年計画で修復を図る。


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