各本紙 118.8cm×50.3cm

紙本墨画淡彩 禅宗祖師図(狩野内膳(かのうないぜん)筆)六曲屏風 

  常栖寺は、応永元年(1394)に開山され、享保2年(1717)に一度堂宇が焼失したが、明和6年(1769)から寛政4年(1792)にかけて伽藍が再興されて今日に至る。

 本作は、六曲一双の押絵貼屏風で、各紙に捺された印章や各隻の落款から安土桃山時代に活躍した絵師・狩野内膳(1570〜1616)により描かれたことがわかる。各紙には「船子夾山(せんすかっさん)」や「南泉斬猫(なんせんざんみょう)」など禅機(禅の悟りの契機)に関係する画題が墨と淡彩によって描かれている。内膳の真体(しんたい:墨の色の使い分けを細かく、きっちりと描く筆様)水墨画の基準的な作例として大変貴重である。

 現状は、全体に劣化が進み、本紙の剥離・剥落も所々に見られ、今後さらに表現が失われていくことが危ぶまれる状況にある。本年度より4ヵ年計画で修復を図る。  


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