像高 54.5cm

 木造如意輪観音菩薩坐像

  実相寺は、文永8年(1271)に京都東福寺の円爾(聖一国師)を招いて創建され、その後、南北朝時代にかけて伽藍の整備や仏像の造立が進められたと考えられている。

  本像は、その方丈本尊として祀られるもので、制作や伝来に関する記録はないが、鎌倉時代末期から南北朝時代前期、同時期に活躍した慶派の仏師性慶(しょうけい)またはその工房の作であると推定されている。実相寺の仏像では現存最古とみられ、美術史学、日本禅宗史や愛知県下の中世史を研究する上で極めて貴重な作例である。

 2019〜2021年に方丈の解体修理が行われ、本像を移動した際に、本像全体に矧ぎ目が離れて危険な状態にあることが判明し、応急処置のみ施し仮組みの状態で安置されており、早急に本格的な修理を行う必要がある。


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