像高 87.7cm

 木造聖観音(しょうかんのん)菩薩立像

 本像は、江垂観音堂の本尊であり、当地の守仏として信仰されてきた。江垂観音堂は現在では無住の仏堂となっており、地元の行政区が管理している。

 細身の体躯に腰を左に捻り右足を緩めて立つ姿には柔和さもうかがえるが、垂髻(すいけい)を高く結い上げ、衣文(えもん)の彫出には鋭さもあり、鎌倉時代の造立と考えられる。当地には杉阿弥陀堂に平安時代の阿弥陀如来坐像が伝来するが、本像はそれに継ぐ相馬地方の重要な遺品である。

 しかしながら、現状では全体に摩滅があり、頭部の割矧ぎ部分や両肘などの各矧ぎ寄せがはずれて不安定な状態になっている。また過去に補修された際に砥の粉のようなものが広い範囲に塗られ像容を損ねている。今回解体による全面的な修理を行う。  


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