本紙 740.0cm×742.0cm

正保伊予国絵図(しょうほういよのくにえず) 

  本図は、正保年間(1644〜1648)に、伊予の松山藩が国絵図として幕府に提出するものと同時並行で作製した控図(ひかえず)と考えられている。本図の裏書には、「村名を記す村形には、本来郡ごとに色を変えて彩色するが、幕府への提出時期が迫り、提出用の絵図は彩色したが、控図であった本図には彩色が施されなかった」ことが記されている。江戸幕府は全国支配の一環として国絵図作製事業を実施していたが、正保期に始まる正保国絵図は全国統一の書式で実施された最初の事業として重要な位置を占めるものである。

 本図は、縦横ともに7mを超え、国絵図のなかでも最大級の絵図といえる。伊予国絵図については、国立公文書館に天保伊予国絵図(てんぽういよのくにえず)が伝わっているものの、正保伊予国絵図の全体図はこれまでに本図しか確認されていない。幕府に保管されていた正保の国絵図の正本は現存しないことから、控図とはいえ、現存する最も古い伊予国絵図として大変貴重なものといえる。

 現状では経年による劣化・損傷が激しく、調査研究および保存に支障をきたしている。2ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。


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