歌式目
    14.5cm×22.0cm

冷泉家歌書類(れいぜいけかしょるい)

  冷泉家時雨亭文庫に所蔵される膨大な冷泉家歌書類の中には、歌学書はもちろん室町期の連歌関係書も広く見いだすことができる。今回の修復対象である以下の7つの歌書類はいずれも、貴重な資料群といえる。

 「詠歌大概(えいがのたいがい)(真名本(まなぼん:漢字だけで書かれた本))・禁制詞(きんせいのことば:歌学で使用を制限・禁止した語句) 」は藤原定家作、及び定家が成立に深く関わったとみられる書物であり、歌道史研究上必須の歌学書といえる。「歌式目(うたしきもく) 」は和歌に用いられる詞の解説書で、和歌にまつわる文化的事象を広く解き明かす格好の資料である。いずれも、室町時代の写本である。

 「題草(だいそう)」は、江戸時代初期の歌題の記録である。「分葉(ぶんよう)」は連歌に用いられる詞のうち、多義語を取り上げて解説した宗祇(そうぎ 1421〜1502)の著作であり、連歌を学ぶ際に参照された連歌学書である。

 「宗長独吟(そうちょうどくぎん)」「当吟連歌」(とうぎんれんが) 」「し葉くさ(しばくさ)」はいずれも宗長(そうちょう 1448〜1532)や心敬(しんけい 1406〜1475)ら連歌師による作品であり、成立から大きく隔たらない時期の写本である。

 現状では損傷が激しく、調査研究および保存に支障をきたしている。3ヵ年計画で修復を行っており、本年度は2年目となる。


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