本紙 172.7cm×169.4cm

絹本著色 仏涅槃図(ぶつねはんず)1幅 

  極楽寺は、室町時代初期の創建とされる臨済宗東福寺派の寺院である。

  本図は、仏涅槃図の様式において、平安時代以来の古様である第1形式と、鎌倉時代以降一般的となる第2形式を混在させているのが特徴である。鎌倉時代の作とされる香川県與田寺の絹本著色仏涅槃図(重要文化財)と共通する図像を有する類例の少ない作品であるが、表現の諸特徴から新しい傾向も看取され、それよりは下る南北朝時代の作品と考えられる。また、箱蓋表の墨書から、元禄14年(1701)に一度修理が施されたことがわかっている。

  現状では、本紙全体に、縦折れや横折れが発生し、糊浮き、欠失などの損傷が著しく、絵画表現が失われかねない状況にある。3ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。


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