本紙 164.0cm×89.6cm

絹本著色 釈迦如来像1幅

  玉林院は、慶長8年(1603)に大徳寺の塔頭として創建された寺院である。創建時の名称は正琳院(しょうりんいん)であったが、正琳院が焼失、再建された際に玉林院と改められた。

 本図は、韓国の高麗時代(14世紀)に制作されたと考えられる仏教絵画である。本来は「阿弥陀如来像」として描かれたと考えられるが、日本に伝わった後に「釈迦如来像」とみなされるようになり、文殊・普賢の脇侍菩薩像2幅(今回の修復対象外)が描き加えられて釈迦三尊像として伝来してきた。縦160cmを超える大幅の一枚絹に端正な尊容を描き出しており、鮮麗な朱色の袈裟に金泥による蓮華文(れんげもん)を精緻に施すなど、高麗仏画に特有の優れた絵画表現を示す貴重な作例として重要文化財に指定されている。

 しかしながら、経年の劣化による顔料の剥離・剥落、料絹の強い折れなど損傷が著しく進行しており、早急な修理が必要な状況にある。2ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。


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