本紙 112.5cm×70.5cm                 

 絹本著色 不動明王三童子像

   乾徳寺は、明暦元年(1655)より臨済宗妙心寺派の寺院として建立され現在に至っているが、元来は、聖徳太子が開基したという伝承を持つ古刹でもある。

 本図は、総髪(そうはつ:伸ばした髪を後ろで束ねて結った髪型)で左耳前に弁髪を垂らしやや右を見て正面に刮目(かつもく)する青不動明王を中心に三童子を配し、さらに倶利伽羅龍(くりからりゅう:不動明王が持ち煩悩を破るという倶利伽羅剣に龍王が巻き付き剣を飲みこもうとする図)を加えた類例のない図様である。その表現様式等から室町時代前期の作とみられ、裏箔や裏彩色を多用した本格的な仏画といえる。

 現況、全体的に無数の横折れが生じ、著しく折れた箇所には亀裂が生じているほか、至る所に細かな料絹の剥落が認められるなど劣化が進んでいる。2ヵ年計画の修復 は、本年度で完了する。 


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