像高 112.0cm

木造聖観音坐像(しょうかんのんざぞう)

  善入寺は、1660年頃に創建されたと伝えられる真言宗御室派の寺院である。 

 本像は、桧材の寄木造で、頭上に真鍮製(しんちゅうせい)の宝冠を頂き,胸に瓔珞(ようらく)を飾り,左手に未開敷(みかいふ)の蓮華を持って,結跏趺坐(けっかふざ)する通例の形状であるが、全体のバランスも良く、五躰の自然な肉どり、誇張のない膝の張り等に巧みさが表れている。作風から、平安時代中後期の作と考えられており、徳島市の丈六寺の重要文化財「木造聖観音坐像」より古い時期に制作された可能性もある。また、像全体の大きさも、同時期の聖観音坐像としてはあまり類例のないものであり、徳島県において歴史的・文化的にも貴重な仏像といえる。

 しかしながら、像全体に虫喰いが進み、鼠等によるものと考えられる大小の穴も数ヵ所空いているといった状態で、放置しておくと、さらなる劣化が進み、今後の維持管理にも著しい支障が出てくることが考えられたことから、昨年度から2ヵ年計画で修復が進められている。修復は本年度で完了する(住友財団の助成は今年度が最初で1年間)。


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