図 8面のうち4面

各本紙 172.5cm×91.7cm

 報恩寺本堂障壁画(ほうおんじほんどうしょうへきが)(文麟筆(ぶんりんひつ)

  臨済宗天龍寺派の寺院である報恩寺の本堂6室の44面の襖絵である。落款印章から作者は文麟の号を持つ絵師の制作であるとわかり、これは塩川文麟(1808〜1877)の筆になると考えられている。文麟は幕末から明治にかけて京都で活躍した絵師の一人で、円山応挙門下の呉春(1752〜1811)の流れに連なる有力画家として、近世から近代に至る過渡期に重要な役割を果たした。報恩寺は無住の時代を経ているが、44面に及ぶ障壁画の全体を完備しており、その画題も、山水図、群鶴図、虎図、龍図、群仙図と多岐にわたる。本作品は大規模な優品であるとともに、文麟の初期の基準作であり、丹後地方に数多く残された障壁画を代表するだけでなく、江戸後期に京都で花開いた円山四条派を代表する作品ともいえる。

 しかしながら、損傷は甚だしく、画面の剥離が現在も進行しており、絵画表現が失われかねない状況にある。第2期の4ヵ年計画で修復を行っており、本年度は3年目となる。


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