284.5cm×252.5cm

      繻子地刺繍(しゅすじししゅう) 佛涅槃図( ぶつねはんず)1幅

 三寳寺は、洛中二条城の南に位置する浄土宗の寺院で、山号を大應山と称する。二度の焼失により不詳ながら、文明年間(1469〜1487)の創建といわれている。

  本品は、絹本刺繍、掛幅装の涅槃図である。本地は地文を織り出した繻子で、横に6幅を継ぎ6幅1鋪とする。本紙地絹には墨線で下絵を描き、墨線の上から色糸による刺繍で涅槃図を表している。釈迦像は別製で、本紙部分中央の空白部分に糸で取り付け、取り外しする着脱式になっている。着脱式とした理由は今のところ不詳であるが他に例をみない。銘文により元禄4年(1691)の制作とわかっており、江戸時代の大型刺繍涅槃図の基準作、優作として貴重な作品と認められる。

  現状は、本紙表面に埃がたまり、虫糞・虫損による欠損がみられるほか、きつい折れが多数発生して折れ山から擦れが生じ始めている状態にある。2ヵ年計画 の修復は、本年度で完了する。


©2022 The Sumitomo Foundation
前ページに戻る