丈 148.4cm

 能衣装上田縞小格子厚板(のういしょううえだじまこごうしあついた)1領

  本品は、共に伝わる畳紙(たとうし:衣類などを包む紙)の墨書及び貼紙から、安政6年(1859)10月に上田地方で織られた上田縞で、真田家(松代藩)から加賀前田家に贈られ、前田家から江戸の能楽師家元に渡ったと伝わる能衣装である。「上田縞」は、文献上江戸中期にはその存在が散見されるが、制作年が明確に判明する資料としては本品が最も古く、長野県下に残る貴重な文化財である。通常の「上田縞」は藍などによる素朴な格子文が多いが、本品は白茶・濃茶・黄茶等々の先染め絹糸によって角度によっては黄金の輝きをみせ、荘厳な雰囲気を醸し出している。また、後世の修理・補修が施されていないとみられ、当初の原形をとどめた貴重な資料としても位置付けられている。

 しかし、経年劣化により繊維は脆弱化してきており、特に白茶糸が粉末化して格子窓状の穴となっている。また肩の部分には生地の欠失があることなどから、指定文化財であるにもかかわらず、展示・公開ができない状況にある。これらを踏まえ、能衣装を解体して修理・補強を行う。


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