直径 25.5cm

 大門観音堂の鰐口(おおかどかんのんどうのわにぐち)

  本品は、熊本県八代市坂本町の大門観音堂に伝わる銅製の鰐口で、銘によって、正平18年(1363)に鋳造され、当初天草市の久玉(くたま)神社に奉納されたことがわかる。大門地区に伝来した経緯は不詳であるが、相良氏による天草支配での戦利品として八代支配の際に当地に持ち込まれたものとみられる。熊本県内では最古の銘を持ち、奉納の経緯が明らかなことや南北朝時代の基準作例として貴重である。

  球磨川中流域に所在する大門観音堂は、令和2年7月豪雨により浸水全壊し、堂内の保管庫に収納されていた本品も被害を受け、広範に錆が発生する状況となった。地区の象徴的な存在である本品を一日も早く被災前の姿に戻すべく、修復を行う。


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