法華経絵巻                     山水図
         31.5cm×291.6cm                本紙 88.3cm×37.0cm

紙本著色 法華経絵巻(ほけきょうえまき)及び
紙本墨画淡彩 山水図(さんすいず)(雪舟筆(せっしゅうひつ))1幅

 法華経絵巻は『法華経』の経意絵の一つであり、本作は鎌倉時代前期(13世紀)に遡る貴重な遺例である。もとは『法華経』二十八品に開経の「無量義経」、結経の「観普賢経」を具えた大部の作品だったと推測されるが、本作のほかに現在は京都国立博物館、畠山記念館(荏原製作所の創業者畠山一清氏が創設した美術館)に所蔵される各1巻の合計3巻のみが伝存する。その中で、平明な詞と清明な絵とを用いて分かりやすく『法華経』を説明する本作は、きわめて重要な作品である。
 山水図は、雪舟(1420〜1506)の落款があり、その真筆であるとされる作品である。師の周文から継承した伝統的な構図法や作風とともに、奥行表現や中国の山水図に学んだ独特の筆法など、随所に雪舟の特徴があらわれている。また、着賛の経緯から制作年代が概ね確定でき、雪舟の晩年の作品に位置づけられる。その画業の全体像を把握する上で基準となる重要作である。
  両図ともに損傷状況等から早急な修理が必要であり、3ヵ年計画で修復を行い、本年度は2年目となる。


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