金剛界                            胎蔵界
     本紙 420cm×375cm               本紙 420cm×407cm

 本著色 両界曼荼羅図(りょうかいまんだらず)2幅

  久修園院は、奈良時代に行基(668〜749)によって開創され、聖武天皇(701〜756)の勅願所にもなった大寺であったが、大坂夏の陣(1615)で大半を焼失し、その後宗覚律師(そうかくりっし)によって復興された。
  本図は、その宗覚律師が元禄年間に描いた大曼荼羅の傑作である。金剛界・胎蔵界いずれも4メートルを超える巨大な作品で、良質の顔料をふんだんに用いて整然と描き出された端正な諸尊が弘法大師請来の現図曼荼羅の図像に極めて忠実である点も、学僧・画僧としても著名な宗覚の手になればこその特徴といえる。
  しかしながら、画面には料紙の強い折れや総裏紙の剥離等の損傷が著しく、このままでは大画面を広げた際に大きな重量を支えることが困難であり、さらに事態の悪化を招きかねない危険な状況にあった。2ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。


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