像高 57.1cm

 木造聖徳太子立像( しょうとくたいしりゅうぞう)

  権現寺の起源は明確ではないが、平安時代初期に奈良から仏像を移して建立されたといわれる歓喜壽院に由来を持つとされる浄土宗の寺院である。

  本像は、全身を裸形に造り衣服を纏わせた裸形着装像で、頭部には黒染めの絹糸を貼る。表面彩色により構造の詳細は不明であるが、補修による大きな改変は認められない。裸形着装像の盛行期の作例として身体表現に逸脱がないこと、柄香炉(えごうろ)と笏(しゃく)をとり、幼げな容姿をあらわす14世紀前半以降制作の聖徳太子孝養像の様式が看取されることから、鎌倉時代末期の制作と考えられる。聖徳太子孝養像における全身裸形の着装像として、彫刻史上数少ない遺品であり、多様化する聖徳太子像の一作例として貴重である。現在は本堂に安置されるが、もとは境内に構える権現堂に、聖徳太子自作と伝わる勝軍地蔵とともに祀られていた。

  保存状態が極めて不安定で、塵・埃等による汚れ、彩色の剥落、虫損による頭髪の乱れ、着衣の脆弱化等が認められることから、早急な修理・保存が求められている。


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