本紙 162.9cm×114.0cm

本著色 仏涅槃図(ぶつねはんず)1幅

  西明寺は、滋賀県の琵琶湖東岸に位置する古刹で、「湖東三山」のひとつとして知られ、多くの文化財を有する天台宗の寺院である。
  本図は、仏涅槃図としては京都長福寺本の系統をひく鎌倉時代中期以降の図像に属する。画面表現に伝統的な作画姿勢が見られるほか、しっかりした線描によって個々の人物や鳥獣は的確に描き分けられている。丁寧で細部もゆるがせにしない彩色とともに正統的な絵仏師の作品と考えられる。制作時期は、絹目が南北朝期に流行した粗めのものであり、表現様式からみても14世紀後半と考えられ、当代の基準作と位置付けることができる。
  南北朝期の仏画作品は絹が粗いために彩色の剥落が進みやすい中で、本図はよく保存されてきたが、本紙絹の折れによる亀裂や欠損箇所の損傷が進行しており、早急な保存処置が望まれた。3ヵ年計画で修復を行っており、本年度は2年目となる。


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