被災前  像高 82.0cm                  被災直後

木造釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)

  本像は、中世の頃に天台宗系の大寺であったが、安土桃山時代に大友氏と島津氏の戦火により廃寺となった法華寺の跡地に建つ釈迦堂に安置されている。
 形よく盛り上がった肉髻や穏やかな目鼻立ちの円満相の顔貌、撫で肩の適度な肉取りの体躯を蔽う着衣の衣文は浅く整理されるなど、和様化の特徴がみられる作ぶりから、中央仏師の作で、平安時代後期から末期の特色を持つ古像とみなされている。近世と考えられる像全体の漆箔、光背・手首等の後補も多いものの、顔貌や衣文の表現といった部分は平安時代の像様を損なわずに遺されている。
 しかしながら、経年劣化により接着剤の膠が弱まっていたと考えられるところ、2016年4月熊本地震の余震において、蓮台部分の接合部が剥がれたことにより、像全体が倒壊し、ほぼ全面解体に近い状態となっている。法花寺区民にも長年親しまれた愛着のある貴重な文化財でもあり、修復が望まれている。


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