像高 72.0cm                 

 木造阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)

 本像の所有者であった建穂寺(たきょうじ)は、天武天皇13年(684)に道昭(629〜700)によって開創され、養老7年(723)に行基(668〜749)によって中興されたと伝わる静岡県内屈指の古刹である。明治期の廃仏毀釈により廃寺となったが、同寺に伝わる仏像等は、その後町内会の活動によって護り継がれている。
 本像は、如来でありながら宝冠を頭部に載せ、頭頂には菩薩のような髻(もとどり)を結う、いわゆる「宝冠阿弥陀如来像」と呼ばれる尊像であり、常行三昧の修行の本尊と考えられる。各史料等から平安〜鎌倉時代の作と考えられ、数少ない宝冠阿弥陀如来像の中で中世にまで遡る遺例として貴重な作品である。
 表面の彩色や漆箔が後世の修理に際してあまり良質でない素材によってなされたため、現状では劣化が生じ尊容を大きく損ねている。また、木材の接合部分も接着力を失って緩んでいるところがあり、至急修理を必要とする。本年度より2ヵ年計画で修復を図る。


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