本紙 19.1cm×438.5cm

 紹巴等賦何人連歌百韻懐紙じょうはとうふすなにひとれんがひゃくいんかいし)

 本作品は織豊時代の連歌壇の第一人者紹巴が指導する百韻連歌である。連衆は13人、ほとんどが紹巴の取り巻きである。成立の天正18年(1590)は、秀吉が小田原の北条、東北の伊達を制圧して、名実共に天下人となった年である。発句の「霜とけて浅茅色こき冬野哉 紹巴」は、そんな関東・東北の諍乱の終息を寿ぐ気配が感じられる。
 なお、連衆の一人である勝熊(しょうゆう)は、貞門俳諧の祖、松永貞徳(まつながていとく)(1571〜1653)のことで、天正18年は貞徳20歳の年にあたり、青年時代の貞徳が紹巴に連歌を学んでいたことを示す資料としても貴重である。青年期の貞徳の連歌作品で現存するものは少なく、天正18年の資料としては、本作が知られるのみである。
 ただ、汚れ・欠失・折れ等が甚だしく、殊に虫損の部分は緊急の補修を要する。


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