本紙 125.1cm×53.2cm

絹本著色 観世音菩薩像(かんぜおんぼさつぞう)1幅

 本作品の作者である酒井抱一(さかいほういつ)(1761〜1828)は、姫路藩酒井家の次男に生まれながら絵師を志し、尾形光琳(おがたこうりん)私淑することによって、江戸琳派の祖となった。
 
本作品は尾形光琳の百回忌に際して、光琳の菩提寺である妙顕寺の塔頭、本行院に奉納され、その後妙顕寺に移ったものである。画面には、岩座に坐す白衣を纏った観音と花瓶を描いている。通常、白衣観音の傍らには楊柳の枝を挿す水瓶が置かれるが、この青磁の花瓶には、光琳の命日、六月二日に合わせて、夏の花々を活け、「文化十二年乙亥夏初二/當/長江軒青々光琳居士一百週諱因/製此像修其冥福/末弟抱一暉眞薫沐謹寫(朱文瓢印)」と落款を記している。
 
本作品は抱一作品の中でも、制作年代が確定し、伝来も明らかな代表作であるといえる。
 
現状では、絵具の剥落が始まっており、このままの状態では、作品の公開が難しくなる可能性が高い。


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