本紙 178.6cm×144.6cm

紙本著色 富士参詣曼荼羅(ふじさんけいまんだら) 

 天満山松栄寺は16世紀末頃に創建されたとされる天台宗の寺院である。
 同寺が所蔵する富士参詣曼荼羅は、近年、はじめてその存在が確認された。富士参詣曼荼羅に関しては、これまで16世紀以前に描かれた富士山本宮浅間大社所蔵の作品が知られていたが、松栄寺所蔵のものはそれらにつぐ古いものである。
 軸装の裏には松栄寺歴代住持の名前が記されており、この富士参詣曼荼羅が当初より同寺に伝来するものであったことが確認できる。同寺のある知多半島に住む人びとの富士山に対する庶民信仰のあり方を考察する上において、かけがえのない歴史史料といえる。
 現在かなり損傷が進んでおり、掛幅全体に皺が入り波をうった状態にあるほか、天の部分の裏側が破損しているため掛紐を用いて掲げることができない。掛幅全体の装丁をやり直す修理が早急に必要となっている。


Copyright (C) The Sumitomo Foundation. All Rights Reserved.
前ページに戻る