像高 163.0cm

木造釈迦如来立像(しゃかにょらいりゅうぞう)

 龍寶寺(りゅうほうじ)は、文治年間(1186)伊達家の初代朝宗が、伊達家の祈願寺として開いた寺院。
 本像は伝来および像内修理銘により16世紀以前の作と知られる。清涼寺式釈迦像の作例は13世紀末より後に増加するが、その中で本像は原像に忠実な形式をとりつつ肉身の抑揚を控えめに表現した、比較的早い時期の作と位置付けられるとされる。本像は現在の宮城県栗原市域に伝来し、仙台藩第4代藩主伊達綱村(1659〜1719)によって元禄9年(1696)に龍寶寺へ移坐された。移坐にあたっては一旦京都で修理がなされ、台座・光背・厨子及び両脇侍像がこの時に新造されたとみられる。このように、本像は鎌倉時代後期の清涼寺式釈迦像であることに加え、江戸時代中期の大名家による修理から開眼に至る経緯等を特定できる貴重な作例である。像高163.0cm、ヒノキ材、寄木造り、彩色、彫眼。
 現状、本躰は部分的に経年劣化がみられる。他の部分では、2011年の東日本大震災の被災もあり、光背化仏(けぶつ)や台座・厨子の部材といった膠接着部の脱落が相次いでいる。漆箔層および彩色層の劣化も進行している。本躰、光背及び台座について、早急に修理を図る。

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