像高 83.4cm

 木造観音菩薩立像(かんのんぼさつりゅうぞう)

 本像は真光寺(しんこうじ)(阿蘇市一の宮町中通)ゆかりの観音菩薩立像と伝えられている。江戸時代の地誌『肥後國誌』によれば、真光寺は曹洞宗寺院であったが、天正2年(1574)に廃絶、寛文8年(1668)に再興とされる。現在、本像は地区の公民館に祀られており、地域住民によって篤く信仰され、護られている。構造は、ヒノキ材、一木割矧ぎ造り、漆箔・截金(後補)。
 本像は、2016年の熊本地震によって祭壇から転倒し、左肩先等が分離するなどの破損が生じた。熊本地震文化財レスキュー事業による調査の際、現状を確認し、作柄からみて平安時代(12世紀)の作とみられている。制作の背景や奉渡の時期など不明であるが、阿蘇地域に伝わる希少な平安後期の観音菩薩像としてその価値は大きく、地域住民によって篤く加護されていることからも、大きな被害を受けた阿蘇地域の復興のシンボルとして早急な修復が望まれている。


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