本紙 148.0cm×81.5cm

絹本著色 役行者八大童子像(えんのぎょうじゃはちだいどうじぞう)

 本山修験宗総本山聖護院(しょうごいん)に伝わる中世に遡る修験道の本尊画像である。大画面の中に、山中の岩座に腰掛けた役行者を中心として、八大童子と前鬼・後鬼、獅子、虎、狼が周囲を取り囲む様子を描く。役行者は長頭巾に法衣、袈裟、蓑を着け、右手に独鈷杵(とっこしょ)、左手に錫杖(しゃくじょう)を執る。本図と祖本を同じくする室町時代の画幅が吉野の金峯山寺(きんぷせんじ)と櫻本坊(さくらもとぼう)に伝来しており、中世において修験道系寺院を中心に権威を持った図像とみられている。
 しかしながら、その高い価値にもかかわらず、画面には料絹の折れや顔料の浮き等の損傷が著しく、このままではさらに剥落が進行する可能性が高いきわめて危険な状況にある。また、過去の修理で絵具の剥落止めとして塗布された光沢のある膜状物質が表面を引っ張ることにより絵具層の剥離を生じ、料絹が硬化して強い横折れや亀裂が全体に生じる原因ともなっている。さらに塗布物の光沢や、塗布物に付着した汚れが細部の図像や美しい筆致・彩色をたいへん見えにくくしており、鑑賞上の大きな妨げとなっている。本年度から2ヵ年計画で修復を図る。


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