本紙 151.7cm×361.6cm

伝俵屋宗達筆(でんたわらやそうたつひつ) 「槙楓図(まきかえでず)

 屏風左下に宗達の別号である「対青軒」印が捺されているが、落款がないため「伝俵屋宗達筆」と表記される。現在、全ての研究者が宗達筆と認めている「樹木図屏風」は存在しない。そうしたなかで、細部の描写技法はもとより全体の構成法に至るまで、本屏風は俵屋宗達(生没年不詳)の様式を良く踏襲した「樹木図屏風」であるとされている。
 さらに注目されるのは、1700年前後に宗達画風を継承する尾形光琳(1658〜1716)が本屏風を元とした「槙楓図屏風」を制作していることである。光琳は本屏風の他に「風神雷神図屏風」と「松島図屏風」を模写している。光琳が本屏風を原画とする作品を制作したということは、両屏風に匹敵する宗達画の優品として本屏風を位置づけたことを物語っているといえる。本屏風は、同画題やモティーフを私淑という形で継承した「琳派」の原点の一つともいうべき作品であるとされている。この様に他に類例を見ない貴重な作例であるが、絵具の剥落や屏風の歪みなどの著しい傷みが目立ち、状態が悪いため、早急な修復が必要な状況にある。


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