本紙 90.7cm×44.6cm

絹本著色 高峰断崖中峰和尚像(こうほうだんがいちゅうほうおしょうぞう)

 本図は、三人の祖師の師資関係を一図にあらわした珍しい形式の頂相として知られている。中国元代を代表する臨済宗楊岐派の高僧で高峰原妙(こうほうげんみょう)(1238〜1295)を中心にし、その左右に弟子の断崖了義(だんがいりょうぎ)(1263〜1334)と中峰明本(ちゅうほうみょうほん)(1263〜1323)を配している。高峰は世俗を絶ち浙江省西天目山の山頂近く師子巌で修業し30年間山を下ることがなかったとされる傑僧である。また、法脈上の兄弟となる断崖と中峰も隠遁的な禅風で知られ、特に中峰は名声を博し、日本からも多くの留学僧が参じている。日本では中世以降幻住派と呼ばれる一大勢力が形成されたが、中峰はその派祖とされる。本図が聖福寺(しょうふくじ)に伝来した背景としては、中世における中国江南地方と博多との密接な関係とともに、臨済宗幻住派の一大拠点としての聖福寺の重要な役割が想起される。
 経年変化により画面全体に折れが認められ、一部、絹が浮き上がり、また、剥離した箇所もあり、早急な全面的修復が求められる状況にある。


Copyright (C) The Sumitomo Foundation. All Rights Reserved.

前ページに戻る