本紙 29.9cm×60.3cm

 一山一寧墨跡(いっさんいちねいぼくせき) 「園林消暑(えんりんしょうしょ)」偈(げ)

  中国台州の出身で、正安元年(1299)に元王朝の外交使節として来日した臨済宗の高僧一山一寧(1247〜1317)は、北条貞時に間諜と疑われ一時修禅寺に幽閉されたが、後に鎌倉の建長寺・円覚寺などの住持として迎えられ、後宇多上皇の懇請によって、京都の南禅寺の第三世住持となった。碩学として知られ、門下に夢窓疎石(むそうそせき)(1275〜1351)・虎関師錬(こかんしれん)(1278〜1346)・雪村友梅(せっそんゆうばい)(1290〜1347)ら優秀なる五山僧を輩出した。屈指の能書家で、その書風は門下への影響も大きく、洗練された草書は傑出している。
 一山の真筆と認められる遺品はこの「園林消暑」偈一幅のみであるとされており、一山の草書の典型を示すものとして重要である。しかしながら、経年による損傷が進行し、このまま放置すると、回復不能な状態に悪化する恐れがあり、早急な修復を図る。


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