像高 82.0cm

 木造阿弥陀如来立像(あみだにょらいりゅうぞう)

 明治維新の廃仏毀釈の風潮は、特に鹿児島県では殆どの仏像が廃棄されるほど熾烈さを極め、現在の鹿児島県指定文化財(彫刻)は、神像、頂相、石像を含め僅か11件しかない。本阿弥陀如来立像は、廃仏毀釈で焼き捨てられる直前に、廃仏を惜しんだ村民が密かに自宅の馬小屋に隠し難を逃れ、長く自宅で管理していたもので、昭和57年に光明禅寺(こうみょうぜんじ)に移座、安置された。
 穏和な顔と優美な衣文が慶派の制作様式を示すことから、中央の仏師の作とみられている。全面に赤色顔料を黒漆下地に使用しており丁寧な造願の事情が推測される。台座への固定方法にも特徴があり、一般的な足裏に枘をつくらず、台座から出た2本の支柱によるという極めて珍しい手法が用いられている。
 手足の損壊、矧目の分離、汚損など全体的に著しい損傷の状況にある。


Copyright (C) The Sumitomo Foundation. All Rights Reserved.

前ページに戻る