本紙 162.0cm×36.5cm

 絹本著色 織田信長像(おだのぶながぞう)

 近世の幕を開いた稀代の武将、織田信長(1534〜1582)の生前もしくは死後間もなく描かれたと推測される肖像画の伝存例は3件が知られている。その中で唯一の束帯像である本図は、信長が安土城内に建てたハ見寺の伝来である。
 華奢な体躯で頬髭少なく面長で高い鼻、大きく見開いた眼など、やや憂鬱な面影を有していたという信長の個性的な風貌を伝えている。上部の賛は、大徳寺第117世住持で、のちに信長の菩提寺となる大徳寺総見院の開山にもなった古渓宗陳(こけいそうちん)(1532〜1597)による。
 本像の上畳の緑青や高麗端の白色顔料に剥落に発展しかねない強い浮き上がりが発生しており、また肖像画にとって重要な面貌部を横切る横折れがあり、剥落に進行する恐れがある。損傷が致命的ではない現時点で修理を行う。


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