164.8cm×101.7cm

絹本著色 楊柳観音像(徐九方筆)

 高麗仏画は、唐代以降、中国からの影響を受けつつ独自の美意識により発展した。また日本でも古くから珍重され、日本の仏画にも少なからぬ影響を与えている。
 「至治三年(1323)癸亥六月 日 内班従事 徐九方画 棟梁道人 六精」の金泥銘文を持つ本作品は、30点近くにも及ぶ現存する高麗仏画の楊柳観音図中、紀年銘を残す唯一の作品である。画家の名前とその職名および発願者の名前も明記されていることから、高麗王朝の高貴な人物の発願による宮廷画家を用いた私的制作というおおよその制作事情を知り得る。
 一般的に高麗仏画は同時期の中国画に較べて脆弱で、損傷を受けやすく、本作品も損傷がかなり進行しており、展示・移動の際には大きな危険を伴う。昨年から2ヵ年計画で修復を行っており、今年度が最終年度となる。

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